あなたに合った猫を迎えよう
〜猫の年齢、短毛・長毛編
「猫といっしょに暮らしたい」と思ったら、迎える猫を好みだけで決めるのではなく、自分や家族のライフスタイルにどんな猫が合っているかや、その猫の命を預かる責任を果たせるかを考えてみることが大切です。「こんなはずじゃなかった…」というミスマッチを防いで、猫との生活を楽しく過ごしましょう。
子猫を迎える? それとも…?
これから猫と暮らしたい方の多くが、「子猫」を迎えることをまず考えるのではないでしょうか。しかし、迎える猫の選択肢は子猫だけではなく、外での生活が長かった中高齢の猫、多頭飼育崩壊やその他の事情で飼い主が手放した元飼い猫など、おとなの保護猫もいます。
子猫は可愛い盛りですが、お世話の負担がかかりやすいといった注意点もあります。猫の個性は1匹ごとに異なりますが、ある程度の傾向として、「子猫」と「おとな猫(成猫・高齢猫)」それぞれの特徴がありますので、それらを踏まえたうえで、どちらがあなたや家族の暮らしに合っているか考えてみましょう。
子猫を迎えるメリット
- 親のような気持ちで成長を見守っていける楽しみがある
- 社会化の時期をいっしょに過ごすので、その家の環境や同居猫、新しいもの、フード、お手入れなどに慣れさせやすい
- 活発な傾向があるので、いっしょに遊ぶ楽しみを得やすい など
子猫を迎える注意点
- 授乳期〜離乳期の猫は、食事や排泄のお世話が頻繁になる
(生後まもない猫は深夜の授乳も必要) - 免疫力が低いので、健康チェック・健康管理が欠かせない
- 好奇心が旺盛で、誤食誤飲、コードをかじる、カーテンをよじ登って爪を引っ掛けるなどの事故を起こしやすく、対策が欠かせない
- しっかり遊ばせないとエネルギーの発散不足で欲求不満になり、甘噛みや成長後の本気噛みにつながりやすい など
おとな猫を迎えるメリット
- 体調が落ち着いていれば、頻繁なお世話が必要ない
- 見た目が安定していて、変化の心配が少ない
- やんちゃな時期が終わって性格が落ち着いていることも多く、ゆったりと過ごしやすい など
おとな猫を迎える注意点
- 保護された経緯や性格によっては人や同居猫に対する警戒心があり、その場合、気長に根気強く付き合う必要がある
- 外の生活が長かった猫は外に出たがったり、室内飼いになれるまでに時間がかかることがある
- 高齢猫の場合、慢性腎臓病や悪性腫瘍、甲状腺機能亢進症など、高齢期にかかりやすい
- 猫の加齢に伴う心や体の変化に合わせた体調管理や、室内環境の整備が必要になる など
短毛種・長毛種、どっちがいい?
長毛種の猫の見た目は優雅な印象があり魅力的ですが、長い被毛だからこそのお手入れが必要です。一般的には、長毛種は短毛種よりもお世話に手間がかかりやすいことを理解したうえで、迎えるかどうかを決めましょう。
- 長い被毛は放置すると絡まりやすく、フェルト状に固まってしまうこともあります。短毛種でも毛づくろいで飲み込む抜け毛の量を減らしたり、皮膚の健康を保つうえでブラッシングは大切ですが、長毛種はより頻繁に行う必要があります。毎日欠かさず行い、毛が絡まり始めたらコームでやさしくほぐしてあげましょう。
- 長毛種は首周りや胸のあたりにフードかすや飲み水が付きやすいので、汚れたら拭き取りましょう。こびり付いてしまったら、温タオルなどでふやかし、コームで汚れを落とします。
- 「おしり周りの毛に排泄物が付きやすい」「足の裏の毛が伸びて滑りやすい」「小さい猫砂が肉球に挟まりやすい」といった悩みも長毛種にはつきもの。汚れるたびに拭き取るか、汚れにくくなるように部分的に毛をカットします(動物病院やトリミングサロンに頼る方法も)。
文・本木文恵(猫の本専門出版「ねこねっこ」代表)
協力/東京猫医療センター 服部幸院長、写真/たむらりえ)