ペットロスを考える
濱野佐代子(日本獣医生命科学大学)
はじめに
私は大学で獣医学を学びました。その後、アニマル・アシステッド・セラピー(※1)を知る機会があり、深く学びたいと考えました。また、ペットを亡くして嘆き悲しむ飼い主さんに出会ったことで、そのサポートをしたいと思いました。そのためには動物に関する学問だけではなく人の心理を学ぶことが必要であると考え、発達心理学専攻の大学院に進みました。結局は、それらの基礎となる人と動物の関係に関する研究が重要であるとの思いに至り、人とペットの関係、愛着、ペットロス、ペットが人に与える心理・身体・社会的効果に関する研究を行ってきました。
現在、私は大学で、人とペットの関係の心理学、人と動物の関係学、グリーフケア(※2)、心理学、動物心理学などを教えています。また、大切なペットを喪失して深い悲しみに陥っているご家族のグリーフカウンセリング、病気や介護が必要なペットをケアするご家族の心理カウンセリングも行っています。以上の経歴を踏まえてペットロスについて概説させて頂きます。
※1医療や教育、福祉の専門家が主導し、治療効果や症状の改善を目的として、意図的に動物を用いて行う治療的介入のことをいう。
※2「グリーフ(悲嘆)」とは、大切な人やペットを喪失したときに経験する深い悲しみや、それに伴う様々な反応のことを指し、悲嘆から回復に向かう過程を促進し、喪失から生じる問題を軽減するために、寄り添い、援助することを「グリーフケア」という。
前のページは:
次のページは:コンパニオンアニマル