「犬のトイレトレーニング最新事情」(その2:室内トイレの教え方)
はじめに
住宅街や公園を散歩していると、犬が排泄をした後にペットボトルの水をかけて薄める光景をよく見かけるようになりました。最近は携帯シャワーボトルやペットボトルに取り付けるだけでシャワー状に水が出るキャップのような便利グッズも販売されているので、散歩中に犬がおしっこをした場合は飼い主は放置せず水で流して処理するのがマナーという理解が広がりつつあるようです。今回のコラムの前半(その1)では、散歩中の犬の排泄物の処理について改めて考え、コラムの後半(その2)では、犬の室内トイレのトレーニング方法についてご紹介したいと思います。
犬に室内トイレを教えるメリット
さて、犬に室内トイレを教えるメリットは何でしょうか。外で他人に迷惑をかけないということ以外にもメリットがあります。
都会の犬はほとんどが室内暮らしです。正しい場所で排泄させることで、粗相してしまうことを防いで私たちの居住空間を清潔に保つことができます。今、ここで排泄をして良いという掛け声を教えてあげることで、外出先などでのアクシデントを防ぐことができます。犬同伴可のカフェや宿泊施設に入る前などに決められた場所で排泄させることができるととても便利です。

そして何より、室内のトイレシーツなどの上で排泄をさせることによって、犬の健康状態が確認できます。いつもよりおしっこの回数が多い、色が薄い、濃いなど、日頃から気にかけていることで、病気の発見が早くなります。天気の悪い日や飼い主の体調が悪くて外に行けない場合にも、排泄を必要以上に我慢させないことや、犬がシニアになったときにも介護して屋外に排泄させに出かける必要がないといったことも、犬ばかりではなく飼い主のストレスを軽減できる大きなポイントです。
このように、犬の室内トイレトレーニングは犬との暮らしには必須と言えるぐらい役立つものなのです。
犬のトイレトレーニングのポイント
ここからは、具体的な犬のトイレのトレーニングのポイントを紹介します。
実は、市販されているトイレシーツのパッケージには、「犬がそわそわしたり、匂いを嗅ぎ始めたりしたらトイレの場所まで連れて行く」などと説明されていることが多いものですが、実際には、犬が匂い嗅ぎを始めたときは、時すでに遅し。トイレに連れて行く暇もなく排泄されてしまうことが多いのです。24時間犬を見張ることは不可能ですが、仮に一生懸命犬のことを見ていたとしても、間に合わないことが多いのです。
それではどうしたら良いでしょうか。トイレをするのをひたすら待つというのは効率が悪い上に成功率も低いので、排泄のタイミングを理解して、そのタイミングにトイレに連れて行くということが、最も効率良い教え方です。
子犬のトイレトレーニング
子犬は、成犬よりも排泄の回数が多いので、タイミングを理解せずに自由にさせていると、気づけばあちこちで粗相をされてしまいます。裏を返せば、タイミングさえつかめば、1日に何度もトイレを成功させられます。子犬を家に迎えたら、その日からトイレのトレーニングを始めましょう。

室内に犬用のトイレを作り、「ここでするのよ。わかった?お利口さん」で伝われば苦労はないのですが、犬は言葉を理解するのではなく、体験を通して学習する生き物です。実際に、何度も繰り返して犬用のトイレで排泄する経験をさせてあげることで、自分でその場所に行って排泄ができるようになります。
朝起きてすぐ、ご飯を食べたり水を飲んだりした後、運動した後、留守番していて飼い主が帰宅した直後などが絶好のチャンスです。速やかにトイレに誘導して、排泄してくれるのを待ち、成功したときには褒めながら、少しだけご褒美のフードをあげたりすれば、トイレの場所を印象付けてくれるはずです。興奮しているときや水をたくさん飲んだ後は、いつもより頻繁にトイレをしたがることもあるので、目を離すときにはクレートと呼ばれるプラスチック製の犬用のハウスで待機してもらうのが有効です。狭いところに入れるのはかわいそうと思うかもしれませんが、フードをクレートに入れてスムーズに中に入る練習をしておくと嫌がらずに入るようになります。狭い場所に一時入ることで、トイレを我慢してくれて、次に正しい場所に連れて行ったときに排泄しやすくなるので、トイレとクレートの練習はセットで行うのもお勧めです。
正しい場所で排泄してくれたときには、邪魔にならないぐらいの小さい声で掛け声をかけると、繰り返している間にその言葉に促されて排泄ができるようになります。掛け声は何でも良いのですが、例えば「ワン・ツー、ワン・ツー」(英語でナンバー・ワンとナンバー・ツーは直接な言い回しを避けるための表現で、大小トイレを意味する)、「トイレ、トイレ」など、家族で統一した言葉が良く、外や他人の前でも憚られず使える言葉を選びましょう。
トイレ以外の場所でしてしまった場合でも、叱ることは百害あって一利なしです。粗相してしまった場所で叱られることで、その場所に悪いイメージがついたり、飼い主を怖い存在と誤解してしまったり、隠れた別の場所で排泄をするようになってしまうかもしれません。飼い主が叱るのは、正しいトイレの場所が別にあるからなのだという真意が伝わらないので、叱ることで犬の行動を正しい方向へ導くのは難しいのです。それよりも、正しい行動を体験させて、それを褒めていく方が犬にとってもわかりやすいので定着しやすいのです。
成犬のトイレトレーニング
成犬で厄介なのは、トイレを我慢できる時間が長いことです。子犬のように頻繁に排泄をする場合、1日に何回も正しい場所での排泄の経験を重ねることができます。ところが長時間排泄を我慢できる成犬は、いつトイレに連れて行っても、排泄をしないということもあります。根負けして散歩に連れ出したら、溜めていたおしっこを一気にしたという話もよく聞かれます。
そんな成犬の場合も、一番タイミングを狙いやすいのは、寝ていて目が覚めたとき。このタイミングに根気よく室内トイレに連れていきましょう。トイレシーツに馴染みがない犬で外での排泄に慣れてしまっている子には、写真のようにトイレシーツの上に人工芝を敷いてみると、成功率が上がります。人工芝は匂いの沈着を防ぐために頻繁に洗う必要があるので手間はかかりますが、室内で排泄するのに慣れてきたらトイレシーツに切り替えていくことも可能です。蛇足ですが、ゴミを増やしたくないという場合は、洗えるトイレシーツを使用することもできます。

室内でなかなか排泄してくれない犬の場合は、まず外で排泄をさせるときに、子犬のトレーニング同様に小さい声で掛け声をかける習慣をつけると、いずれその声に促されるようになるので、室内トイレで排泄をさせたいときのサポートにもなります。
子犬にしても、成犬にしても、トイレトレーニングは飼い主と犬との根気比べになりがちですが、排泄した時間をメモしてどのようなタイミングでトイレに連れて行けば良いかを把握するなど工夫をしながら作戦を練ってみましょう。
しつけは面倒だから、散歩に行くときや犬を同伴できるお店に入るときはマナーベルト(オムツ)をつけて入るという選択肢もあります。しかし、マナーベルトやオムツをつけたまま何度もおしっこをすると犬の肌や毛が黄ばんでしまったり、肌が弱い子は痒みが生じたりするため、しつけが落ち着くまでの間の救済策とはなっても、犬の生涯使える作戦とは言えなさそうです。
何から始めて良いか、どう取り組んだら良いかわからない、また試してみたが上手くいかないという方はぜひしつけの専門家に相談してみてください。効率よく成功に導く方法をアドバイスしてもらえるはずです。
終わりに
犬は大切な家族の一員。社会の一員として、犬が苦手な人にも気持ちよく受け入れてもらえるような散歩マナーを身につけたいものです。飼い主としつけのなされた犬が歩調を合わせて穏やかに散歩をしていて、犬が排泄したら適切に処理してまた散歩継続。そんな姿が常識になれば、「ふん・尿の始末は飼い主の責任です」と書かれた啓発看板も必要なくなり、私たちが暮らす地域は美しく清潔な景観を保つことができるでしょう。
Can! Do! Pet Dog School しつけインストラクター
C P D TーK S A
川原志津香
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