快適に生活するためのヒント
~体のケア~
年齢を重ねると、様々な部位で老化のきざしが現れてきます。
若い時には必要なかったケアが必要になることがあります。
高齢動物をケアするうえで、大事なことは
- 快適に生活できること
- 飼い主の管理のしやすさ
- 二次的な障害を起こさせない
ことを飼い主さんが考えてあげることです。
眼のまわりのケア
年齢を重ねると目が乾燥し、目ヤニが出やすくなります。そのままにしておくと毛とからまって皮膚炎をおこしたり、視界が狭まりものにぶつかることがあります。
- 目ヤニは濡らしたコットンやガーゼでふやかします。
- 目ヤニを取り除く際は、無理にひっぱらず、やさしく拭います。
- 必要ならば点眼薬も使用しましょう。
- 目にかからないよう目の周りの毛をカットしましょう。
耳のケア
耳垢が溜まったり、耳の毛が伸びると痒みや赤みなどの炎症や臭いの発生につながります。
- 耳垢はやさしくコットンでふき取ります。
- 汚れが付きやすい部分の毛はカットします。
- 洗浄液は状態によって使い分けましょう。
口のケア
歯磨きなどを習慣にしていないと、歯石がたまり、歯周病が発生することがあります。歯周病は口臭が発生したり、痛みにより食欲不振につながります。また歯周病の原因となる細菌が血液を介して全身にまわり、体全体に悪影響を及ぼすことがあります。
- 歯石がついていないか、口臭があるかどうか飼い主さんがチェックしましょう。
- 歯石が付きにくい食餌を見直してみましょう。
- ひどい場合は、麻酔下での歯科処置が必要となることがあります。歯科専門の獣医師の受診をおすすめします。
- 口内の細菌の繁殖を防ぐサプリメント等が有効な場合があります。獣医師に相談してみましょう。
足周りのケア
爪やパッドの毛が伸び放題だと、起立や歩行の妨げになります。また足腰へも負担がかかります。爪のケアをしないと皮膚に爪がささったり、指の間の炎症を起こすことがあります。
- 爪は短く、やすりで先は丸く整えましょう。
- パッド周りは滑らないように毛をカットしましょう。
- 足裏は肉球が見えるようにしましょう。
お尻周りのケア
年とともに、糞の状態や排せつ行為が変化し、糞がお尻につきやすくなります。お尻周りに排泄物がついたままだと不衛生です。臭いや毛と絡まって皮膚の炎症を起こすことがあります。
- お尻周りの排泄物はぬるま湯で洗浄しましょう。
- お尻周りをトリミングやカットにより排泄物が付きにくいようにすることも有効です。
猫について
猫は、自分でグルーミング(毛づくろい)する動物ですが、年をとると、口腔疾患の影響や、毛質が変化したり、体の柔軟性がなくなるために、毛づくろいしたいところに口や手が届かなくなったりして、十分に毛づくろいできなくなることがあります。セルフグルーミングが減ってきたと感じたら、飼い主さんがなるべくブラッシングしてあげましょう。ブラッシングをストレスと感じないように、若いころからブラッシングする習慣をつけておきましょう。
(監修 東京都獣医師会副会長 成城こばやし動物病院 小林元郎院長)