快適に生活するためのヒント
~環境を整えよう~
高齢になると、筋肉が落ちたり、体の関節の柔軟性が減ることで、足腰の力が衰えて、歩いたり、物を飛び越えたりするなどの動作ができなくなることがあります。
また、視力や聴力が落ちたり、排尿のコントロールがうまくできなくなることもあります。
おうちの環境を整えて、これらの高齢動物が快適に暮らせる環境を作りましょう。
安定した床材を敷きましょう
歩いていて滑ったり、踏ん張りがきかないと転倒して怪我をすることもあります。
また、床が滑ると、立ち上がるときにもうまくいかなかったりします。犬が長く時間を過ごす場所や、玄関などに滑り止めの床材を敷きましょう。
滑らない材質、洗えるもの、フラットなものがおすすめです。
自力歩行や起立の補助具を使ってみましょう
足腰が思うように動かなくなってしまった場合には、補助具を使ってみることも有効です。
バスタオルを利用したり、もともとある器具をリメイクしたり、市販の補助具を利用するのも良いでしょう。用途や補助部分別に使い分けると良いでしょう。
体に負担の少ない快適な寝床を用意しましょう
高齢動物は、寝床で眠って過ごす時間が増えてきます。安眠するためには快適な寝床が必要です。心地よい低反発性のマットは、寝たきりになった場合にも床ずれ防止に有効です。また、寒さ、暑さなどの温度調節ができるようマットは通気性があるものがベストです。熱がこもることを防ぎ、皮膚トラブルにも有効です。
寒い時には毛布をかけたりして体が冷えないようにしましょう。
光量や温度も調節して、快適な環境づくりに努めましょう。
排せつの管理
高齢になるとトイレの失敗が増えることがあります。若いころに比べて我慢ができなかったり、足腰の機能が低下して立ち上がりが遅れたり、病気によって排尿や排便のコントロールが上手くいかないこともあります。
- 室内トイレを見直してみましょう
トイレが間に合わないことが増えてきたら、今までよりも広いスペースのトイレにしましょう。大判のペットシーツを敷いたり、普段動物が生活している場所の近くに設置すると排せつしやすくなります。 - グッズも利用しましょう。
排せつが上手くいかない段階に応じて、オムツやマナーパッド、洗えるマットなどを利用してみましょう。市販の動物用のオムツは穴にシッポを通して背中側で止めます。排せつしたらオムツはすぐに外して汚れをふき取り清潔にしましょう。
食事は頭を起こした位置で
高齢になると、背中が丸まり、頭が下がりやすくなります。頭が下がると、口よりも食道や胃の位置が上になり、高齢動物にとっては、重力に逆らって飲み込むことになるので負担が大きくなります。誤嚥や食道炎の危険性もあります。
寝たきりになっても、必ず頭を起こした姿勢で食べさせるようにしましょう。
食事がしやすい工夫
食器の高さや角度を調節しましょう。 手で形を変形できるシリコン製の食器も便利です。
(監修 東京都獣医師会副会長 成城こばやし動物病院 小林元郎院長)